矯正治療をしたいと考えたことはありませんか?

歯を失う原因の第一位は「歯周病」であり、歯科矯正はこれを防ぐ有効な手段です。

かといって、「大人になってからでは遅いのでは…」「高いお金を払って失敗したくない…」という理由でためらう方もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は、大人向けの矯正歯科の適切な選び方から矯正治療の実際の流れまで、分かりやすく解説します!
歯科矯正を考えている方はぜひ参考にしてください。

1.矯正歯科って何?

歯並びの悪さは見た目を損ねるだけでなく、様々な悪影響を及ぼします。

  • ・食べ物を十分に咀嚼できない
  • ・あごの筋肉に負担がかかる
  • ・明瞭に発音できない
  • ・虫歯、歯周病などになりやすい
  • ・口臭の原因になる

これらの問題を改善するためにも、矯正歯科では歯並び・噛み合わせを改善する治療を行います。

2.大人の矯正歯科の選び方

では実際に歯科を選ぶ際、どういった基準で選べばいいのでしょうか。

今回は、矯正歯科を選ぶ際に見るべきポイントを4つに絞りました。
下記の4点を考慮しながら探しましょう。

2.1高い矯正治療の技術力を持っている

やはり高額な金額を払って治療するからには、高い技術力を持っていないと納得がいかないかと思います。

その矯正歯科の技術力の高さを見る具体的なポイントは次のとおりです。

2-1-2.一般歯科ではなく、矯正歯科である

通常の歯医者さん(一般歯科)でも、矯正治療を行う医院は存在しています。

しかし、矯正治療を専門に取り扱う矯正歯科の方が、一般歯科より矯正の技術や知識・経験が豊富です。
一般歯科だと虫歯や歯周病などの検査を一緒にできるというメリットはありますが、矯正の専門的な技術を重視するなら矯正歯科を利用するべきでしょう。

2-2.費用が明確でわかりやすい

矯正治療は自由診療であるため、治療を受ける歯科医院によって料金体制が変わってきます。
矯正治療の基本料金の相場は70万円~150万円であり、その他検査代、毎回の診察料などもかかることもあります。

自分の受けたい治療法はいくらなのか、検査代や毎回の診察料は基本料金に含まれるのかなど、料金体系が明確な歯科医院を選ぶほうが良いでしょう。

2-3.担当する歯科医師が親身になってくれて相談しやすい

矯正治療は長期にわたって治療が行われます。
その間、たくさんの不安や相談事が出てくるかと思いますが、気兼ねなく医者に相談できる環境があると安心できます。

治療方針についての丁寧な説明や、質問に対して真摯に答えてくれる歯医者さんであるかなど、初回相談時に歯科医院の雰囲気を確かめておきましょう。

良好な人間関係を築けるかどうかも矯正歯科を選ぶ上で大事なポイントだといえます。

2-4.自宅や職場から通いやすい

一般的に矯正治療では月に1回ほど通院することになります。
長く通院するからこそ、歯科医院が自宅や職場から近い方が楽です。

また矯正治療を始めると、器具の不具合や口の中の違和感といった、至急歯科に行きたい事態が発生することもあります。
歯科医院が遠いと対応が遅れるだけでなく、人によっては問題を放置したままにすることもあるので、アクセスの良さも考慮すると良いですね。

3.初めて矯正歯科に行く際に質問すべきこと

大抵の方は矯正治療を始めるにあたり、何を明確にすべきか分からないはずです。
そんな方のために、矯正歯科の初回相談時に明らかにすべきポイントを4点紹介します。

3-1.今治療を行うべき状態かどうか

虫歯や歯周病の状態によっては、矯正治療を始めるべきではない場合があります。
矯正治療前検査で、自分が治療を始めて良い状態か、いつ治療を始めるべきかを確認、相談しましょう。
また、50代からでも矯正を始める方もいらっしゃいます。
年齢に関わらず矯正治療は開始できるので、興味のある方は好きなタイミングで相談してみましょう。

3-2.治療に必要な期間

子供に比べ、大人は顎の成長が終わっているため治療期間の計画は立てやすいです。
基本的な大人の矯正治療の期間は2〜3年です。
相談の際には目安を確認しておきましょう。

3-3.治療方法の詳細

矯正治療の方法はたくさん存在します。
治療法によってかかる費用、期間も変わってくるため、自分の希望をもとにどの治療法が一番適しているか、歯科医師としっかり相談する必要があります。

主要な矯正治療の相場と期間は以下の通りです。

  • ・歯の表側のブラケット矯正 (唇側・ラビアル):70万円〜105万円/2年~3年程度
  • ・歯の裏側のブラケット矯正(舌側・リンガル):100万円~150万円/2年~3年程度
  • ・マウスピース矯正:90万円~110万円/2年~3年程度
  • ・部分矯正:30万円~60万円/6ヵ月~1年半程度

※期間・費用は目安となります。

3-3-1.ブラケット矯正

ブラケットと呼ばれる装置を歯に装着し、ブラケットとワイヤーをつないで矯正する方法です。
最近では、透明や白色のブラケットで目立ちにくいものもあるので、歯の表側に装置が着いてもそこまで気になることもありません。

ブラケット矯正は、歯の表側にブラケットを装着する表側矯正と、歯の裏側に装着する裏側矯正の2つの方法があります。

裏側矯正では第三者から矯正器具が見えない利点があるため、サービス業従事者や治療中であることを知られたくない人にオススメです。
費用は表側矯正に比べて裏側矯正の方が特殊な矯正装置の使用・高い技術力・豊富な経験が求められるため割高になります。

3-3-2.マウスピース矯正

自分の歯並びに合わせたマウスピースを製作し、それを装着することによって矯正する方法です。

マウスピースは透明であるため目立ちにくく、着脱も自由にできます。
普段通りに歯磨きができるため、ブラケット矯正に比べて歯周病や虫歯にかかるリスクは低いといえます。
軽度の歯のでこぼこの方におすすめな治療法で、全ての症例の方に対応できないのがデメリットといえます。

3-4.矯正中の対応の仕方

歯科矯正の治療が始まると、器具の調整や何かしらのトラブルで矯正歯科に対応してもらう機会があります。

そんなトラブルの際の対処について、どこまで対応してくれるか事前に確認しておきましょう。

4.治療の流れ

適切な矯正歯科が決まれば、いよいよ矯正治療が始まります。

長ければ3年を超える矯正治療ですが、一体どのような流れで進むのでしょうか。

ステップごとに見ていきましょう。

4-1.初診相談

矯正治療を始めるにあたり、本人の悩み・不安・疑問点を明確にすることができます。
治療全体にかかる費用や今後の流れなど、納得がいくまで話し合いましょう。
費用の目安:0〜10,000円(無料のクリニックも多い)

また、歯科によっては初診相談後すぐに次のステップである精密検査に移れます。
通院が面倒な方は、事前に確認してスムーズに事を運びましょう。

4-2.精密検査・診断

精密検査では、レントゲン撮影、歯の型取り、顔の写真撮影などを行います。
現状の把握や今後の治療方針を決める上で重要なステップです。
精密検査の結果を基に治療方針、治療計画、費用は次のとおりです。

精密検査の費用の目安:30,000円~60,000円

4-3.準備

精密検査の結果をもとに、今後の治療計画や矯正方法を決定します。

矯正装置作成のために再度、歯の型取りを行います。
装置の種類にもよりますが、裏側矯正の場合、装置を作製するのにあたり、歯の型採りから1~2ヶ月程かかります。マウスピース矯正の場合は、マウスピースが海外から届くため少し時間がかかり、歯の型採りから1~2ヵ月後に矯正装置ができあがってきます。

4-4.矯正治療開始

いよいよ矯正器具を装着して治療がスタートします。
矯正器具の装着作業はおよそ1~2時間前後で完了します。

装着後は一般的に3〜6週間のペースで通院、2~3年ほど矯正が続きます。

毎回の調節費用の目安は5,000円前後ですが、トータルフィーシステム制の矯正歯科医院の場合は、毎回の調節費が矯正治療費に含まれています。

4-5.保定期間

歯並びが整い、歯を動かす治療が終了すれば、矯正器具を外すことができます。
この時点で矯正治療は終了というわけではなく、器具を外した後は保定期間となります。

矯正治療をした後はもとの位置に歯が戻りやすく、それを阻止するためのリテーナーという保定装置を装着します。

一般的には数ヶ月に1回の通院、2年ほど保定期間が続きます。

5.治療中のトラブル

矯正治療中、どんなトラブルが起きるか気になりませんか?

今回は矯正治療中によく起こるトラブルの事例を3つ紹介します。

5-1.唇の裏に当たって痛い

矯正治療による痛みや違和感は個人差があります。

ワイヤー矯正では、器具が口の中のどこかに当たったり擦れたりすることで、口内炎の発生や痛みが生じる場合があります。

器具の慣れも関係してきますが、なかなか問題が解決しなかったら担当医に相談・調整をお願いしましょう。

5-2.治療中に虫歯・歯周病が悪化

矯正治療中に、虫歯や歯周病が悪化するケースがあります。

先述でもあった通り、矯正装置が付いているとどうしても歯磨きがしにくく虫歯や歯周病が起こりやすいからです。

器具に汚れが溜まりやすい箇所を覚えて重点的に歯磨きをする、毎食終わりの歯磨きを徹底するなど、磨き残しのないよう根気強く歯磨きを行いましょう。

5-3.元に戻ってしまった

保定期間中、保定装置であるリテーナーを使わないでいると歯が後戻りする場合があります。
後戻りしてしまうと最悪の場合再治療を行うことになるため、サボらずリテーナーを装着しましょう。

また、頬杖なども歯に力が加わり、後戻りの原因になるので注意が必要です。

6.まとめ

矯正歯科の正しい選び方や矯正治療の流れをご紹介しました。
これから先、キレイな歯並びの笑顔での前向きな生活と、よく噛める食生活を送るためにも、歯科矯正を考えてみてはいかがでしょうか。