皆さんが美しいと思う横顔とは、一体どのような形をしているでしょうか?
恐らく、キリっとしていてシャープな顔つきを皆さんご想像するかと思います。
しかし、最近口ゴボという言葉を耳にするように、口元が出ていると感じている人もいます。実際、自分自身の横顔にコンプレックスを持っている人も中にはいらっしゃるかもしれません。

今回は、その口ゴボの原因、症状、治療方法についてご説明します。


1.そもそも口ゴボって何?

そもそも、口ゴボとはどのような状態でしょうか?
口ゴボとは、口を閉じた際に上下の唇が前に出てしまい、横から見た際に口元が膨らんで見える状態のことを言います。
横から見た顔つきで、鼻と顎との直線に対して唇が大きく前に超えてしまっている場合は口ゴボである可能性が高いです。
専門用語で言うと、上下顎前突という言葉が一番意味合いとしては近いです。


2.口ゴボの原因は何?

口ゴボになっているといっても、その要因はいくつも存在します。
自分の口ゴボの原因は一体何か、下で当てはまるものを探しましょう。


2-1.遺伝による骨格の問題

最初に挙げられる原因は遺伝です。
これは、親からの遺伝で口ゴボになってしまう骨格を受け継いでしまった場合と、口ゴボになってしまう歯並び(俗に言う「出っ歯」のことです)の遺伝を受け継いだ場合の、大きく分けて二種類が挙げられます。
骨格に問題がある場合には、歯列矯正とともに、口腔外科や形成外科による手術が必要な場合もあります。歯並びのみの場合には、矯正歯科治療のみで口ゴボの治療が可能です。


2-2.呼吸の仕方

次に挙げられる原因は、呼吸方法です。
呼吸方法には大きく分けて鼻呼吸と口呼吸の二種類あります。
後者である口呼吸を普段からしている人は、口元が前に出やすいと言われています。
例えば、鼻炎を患っている方は普段から口で呼吸する癖がついてしまっている為、口を突き出すような形を普段からとっています。
そのような方は、それが原因で口ゴボになってしまうと考えられています。対処方法については下で詳しく説明します。


2-3.食べ物をよく噛まない

そして、三つ目の原因は顎の使い方です。
皆さんは、食べ物をしっかりと咀嚼していますか?
食事の際によく噛む人とあまり噛まない人にも、口周りの差は生まれます。
食べ物を食べる際に、しっかりと噛む癖をつけていないと、口周り、顎周りの筋肉は発達しません。それを放置していると、筋肉の衰えによりどんどん顎周りが垂れてきてしまいます。
それにより、前の方向に肉が押し出されたり口元が緩んでしまったり口ゴボになってしまうこともあると言われています。


3.口ゴボが引き起こす問題

口ゴボの問題、と聞くと見た目のコンプレックスが真っ先に思い浮かぶ方も多いでしょう。しかし、実は口ゴボが原因となり二次被害を引き起こすこともあるのです。

3-1.見た目のコンプレックス

上述したように、口ゴボの方の中には横顔に対してコンプレックスを持っている方も中にはいらっしゃいます。日常的に「見られているかもしれない」「口ゴボを見られたくない」という思いをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。


3-2.虫歯や口臭の悪化などの症状

口ゴボの人は、意識しないと口をしっかりと閉じることはできません。
無意識の内に口が開いてしまうので口の中が乾燥して唾液の働きが弱くなり、虫歯や歯周病になる確率が上がります。
口を普段から開けていると、他にも空気中の雑菌が口に付着し、前歯の変色、口臭に繋がることも少なくありません。
毎日しっかりと歯磨きを行っていても何かしら口のトラブルが起きる人は、口ゴボが原因で口が開いているからかもしれません。一度、普段から口が開いているかどうかを意識してみてはいかがでしょうか。


4.口ゴボを悪化させない方法

口ゴボをこれ以上悪化させないためには、普段から口元を意識することが一番重要です。
定期的に体操を行ったり、呼吸法を変えたり、自分に出来る範囲から実践していきましょう。


4-1.あいうべ体操

皆さん、「あいうべ体操」はご存じでしょうか?
上で述べたように、口を閉じた状態が続くと出っ歯になり、口ゴボになってしまう原因となってしまいます。
症状を現在より悪化させない為には、口周りの筋肉を鍛える必要があります。

やり方は以下の4ステップです。

  • ① 大きく口を開けながら「あー」と発音する
  • ② 口角を後ろに引き「いー」と発音する
  • ③ 唇を大きく前に突き出し、「うー」と発音する
  • ④ 舌を出来るだけ出し「べー」と発音する

この4ステップそれぞれの工程に5秒ほどかけて、朝昼晩それぞれ10セットほど行いましょう。
この運動により、口周りや舌の筋肉が鍛えられ、顔周りが引き締まり口ゴボの悪化を食い止めることができます。


4-2.頬杖をつくのをやめる

殆どの人がしたことのある頬杖。癖や無意識でつい行っている人もいるのではないでしょうか。
実は、頬杖をつくことにより顎に圧力がかかり、歯並びを悪化させてしまうのです。
歯並びというのは、僅か17gの圧力でも影響がでます。どこかの歯に圧力がかかることにより、そこから連鎖的に全体の歯並びに影響が及ぶため、余計な圧力は極力かけないようにしましょう。


4-3.鼻呼吸をする

寝ている時起きている時問わず、常に舌は上顎に付けておき鼻呼吸をするように心掛けておきましょう。
口呼吸ばかりしていると、唇から前歯が前方に出ることを抑える力が少なくなり、舌が内側から前歯を押し出す力に負けてしまうため、歯がどんどん前方に倒れていって出っ歯になっていきます。
もし鼻呼吸をしながら普段の生活をするのが難しいと感じる方は、耳鼻科に相談してみるのもいいでしょう。

5.口ゴボの治療方法と費用って?

口ゴボの原因にはいくつかありますが、前歯が外側に傾いていることが原因の口ゴボに対しては、歯の矯正が一番効果的です。
歯の矯正を行うことによって、見た目だけではなく噛み合わせも改善されるので口ゴボに対する一番有効な手段でしょう。
では、歯の矯正をするにあたってどのような方法があるのかをみていきましょう。歯の矯正は専門的な技術と知識が求められますので、実際の治療を行う際にはお近くの矯正歯科専門医院にて相談することをおすすめします。


5-1.ワイヤー矯正

ワイヤー矯正とは、文字通りワイヤーとブラケットと呼ばれる装置を歯に接着し、歯並びを治すという治療方法です。最もポピュラーな治療法といえます。

あらゆる症例に対応できますが、
食事のしにくさや器具の付け始めに口の中に違和感があることもデメリットとして挙げられます。
ワイヤー矯正には、器具の装着部位によって、表側矯正(歯の表側に器具を装着)と裏側矯正(歯の裏側に器具を装着)の二種類があります。
表側矯正は治療が行いやすく、値段も比較的抑えることができますが、矯正器具が目立つため見た目を気にされる患者さんもいらっしゃいます。
それに対して裏側矯正は外から見られることはありませんが、治療が難しかったり、歯の裏側に装着する装置が特殊だったりするので、その分表側矯正に比べて値段は高くなってしまいます。
通院頻度は1~1.5カ月に1度ほどですが、通院期間は2〜3年ほどを要します。
症例にもよりますが、表側のブラケット(ラビアル)矯正 70万円〜105万円、裏側矯正 100万円〜150万円が目安の金額です。


5-2.マウスピース矯正

透明のマウスピースを歯にかぶせるマウスピース矯正は、歯並びの異常が軽度の方に向いている治療法になります。
歯並びの悪さが軽度の方に向いているので、どのような症例にも対応できるというわけではありません。
又、マウスピースを装着している間は痛みが生じることと着脱が自由であるということもあり、自分自身の意志の強さで治療期間も大きく左右されます。
費用は症例にもよりますが、90~110万円が相場といわれています。


6.まとめ

口ゴボにはいくつもの原因があると同時に、いくつもの解決方法があります。普段からの習慣を見直すものから、実際に治療に踏み切って解決に至るものまで多種多様です。
もちろん、生活習慣を見直し、特別な治療を行わないで解決するに越したことはありませんが、矯正歯科治療などの特殊な治療が必要だと感じたときは、気軽に近くの歯科医院やクリニックなどに相談するのも良いかもしれません。